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消防士と消防官の違い
「消防士」と「消防官」、どちらも耳にする言葉ですが、その意味の違いを明確に把握している方は少ないのではないでしょうか。消防の仕事をもっと知るために、名称の意味を理解しておきましょう。
消防士は職業・階級名
消防士とは消火活動や人命救助、119番通報を受けて指示や指揮を執るなど、消防署に勤めている隊員全員を指す名前だと考えている方がほとんどでしょう。ですが、実は消防士とはそれらの任務に就く人の一部のみを指す階級名なのです。
消防士とは警察組織でいうところの巡査(おまわりさん)にあたる階級で、消防吏員の中では最下位の階級を指しています。各自治体の消防本部に所属し、階級を持つ消防隊員を消防吏員(しょうぼうりいん)といいます。この消防吏員は消防組織法によって定められています。消防吏員には10階級あり、別項目で詳しくご紹介しています。
つまり正式な意味での消防士とは、この階級を持つ隊員のみということになります。階級が上がると消防士という名称ではなく、別の階級を持つことになります。しかし一般的には階級の違いは分かりにくく、理解する機会もないことから消防の職務に就く隊員全員を消防士と呼ばれるようになりました。
スタートは消防士
消防の仕事には救急やレスキュー隊なども含まれていますが、どの仕事もほとんど最初は消防士から始められます。例外として救命士の資格をすでに保有している場合には救助隊に配属されることもあります。
採用試験合格後は消防学校に進み、消防吏員の階級の中で最下位である消防士として経験を重ねます。消防学校に入学した時点で消防士の階級を得ることになり、毎日厳しい訓練や消防に必要な知識の習得にあたります。
学校を卒業後、消防士という階級を持つ隊員は火災が発生した際に現場へ赴きます。その後目標の部隊を目指すことになります。最下位の消防士のうちにしっかりと経験を積み、どのような現場で活躍したいかを考えることが求められます。
消防士が目指す各部隊
消防の仕事にはさまざまな部隊があり、一般的に私達が思い浮かべる消火活動を行う部隊は消防隊にあたります。希望する部隊に進むためには研修を受け、選抜試験に合格する必要があります。もっとも低い階級である消防士が目指す各部隊をご紹介します。消防士の方と出会ったらどの部隊に属しているのか、どの部隊を目指すのかを聞いてみると会話が弾むでしょう。
消防隊
消防隊の中でもまずはポンプ隊として現場で消火活動の経験を積みます。
その他に特別な訓練を要するプロフェッショナルとして、特殊災害に対応する特別消火中隊や、毒物・原子力・テロなどに備える化学隊もこの部隊に属しています。
救助隊
レスキュー隊をはじめとし、ハイパーレスキュー隊、山岳・水難救助隊などありとあらゆる場面を想定した訓練を行い、人命救助に当たる部隊です。日本のみならず海外へ派遣される国際救助隊もあります。消防の仕事に就く方から特に人気の高い部隊です。
救急隊
救急車に乗車し患者のもとへ駆けつけ、適切な処置を施しながら迅速に病院へと搬送する役割を担う部隊です。隊員になるには救急隊員の資格を取得する必要があります。ドラマや映画に出てくる救急救命士やドクターヘリの隊員はこの部隊に所属し、救急救命士となるためには国家資格が必要となります。
通信指令
119番に連絡があった際に対応するのが通信伝令部隊です。電話を通じて必要な情報を素早く聞き出し、消防隊や救急隊などに適切な指示を出して現場へ派遣します。基本的に座り仕事ですが、市民が考える以上に通報は多く、中にはただのいたずらもあるため、冷静に対処することが求められる仕事です。
事務
24時間勤務となる他の部隊と違い、事務は基本的に朝から夕方まで毎日勤務します。
一般企業のような総務の他、予防や警防といった消防ならではの部署が存在しています。消防に関することはもちろん、消防法も理解しておく必要があります。
消防官は俗称
消防士と同じような感覚で使っている消防官という言葉ですが、実は消防官というのは正式な名称ではありません。消防吏員の中に消防官という階級はなく、また消防隊員の別名としての消防官という言葉も本来は存在しません。しかし同じ公務員で国民・市民の安全を守る「自衛官」「警察官」という職業の名称が一般的に浸透していることから、消防吏員も「消防官」という呼び方をされるようになりました。
そのため東京消防庁では現在、消防吏員の採用試験を「消防官採用試験」とし、あまり知られていない消防吏員という名称に変わり認知度の高い消防官の呼称を採用しています。
正しくは消防官という職業は存在しないものの、一般市民がその使い分けについて深く考える必要はありません。ただ消防隊員を目指す方や消防隊員との結婚を目指す女性などは正式な名称を知っておくといいでしょう。